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4、転機



作・S&M





いつもの道を今日は一人で行く。

千里は先に行ったそうだ。やはり昨日のはいけなかったのかな…

学校につくとなんだかみんなの様子がいつもと違っていた。

「山崎、一体何があったんだ?」

「神藤!おやびんとたかはっ先輩、あとクラリスの一葉さんと双葉さんがアメリカのSA学園の大学部に昨日の夜からいったんだってよ。野球部は一時限め、それの説明だってさ。」

アメリカ?

「…アメリカァァー!?ジョーダンにもほどがあるぞ。山崎…。」

俺は自分の耳を疑った。

「今回はジョーダンは言ってねぇよ!バカヤロ!喰らえぇ!山崎・ミラクルヒップゴールデンバズーカ!!!!」

…むっ!見きった!

俺はすかさず山崎の攻撃を避けて、

「なんの、悟・超高速回転スーパービンタ!!!!」

しかし俺の攻撃も避けられた。すると一人の女子の声がした。

「もう二人ともやめなよ!さとっちゃんもかいっぺもいつも変なケンカをしてぇ。」

片尾だった。総将先輩になんて手紙送ったのかな?

「おう、おはよう方尾。」

とりあえず挨拶はしとこう。

さてと、本題に入るか。

「ところで方尾…総将先輩に何送ったんだ?」

方尾は笑った。

「決まってるじゃないラブレターよ。ラ・ブ・レ・タ・ー。アンダスタン?」

やっぱりか…しかし総将先輩がこのノリについていけるのかな?

「そうだ。千里がどこにいるか知らないか?探してるんだけど…」

「なに?神藤は彼女ににげられたの?」

驚いてんじゃねぇ~!てか彼女じゃねえよ!

まだな…と思っていると見知った歩き方が…

「千里!!」

俺は走って追掛ける。

「おはよ千里。」

やっぱ、気まずい…かな?

「あっ、おはよう神藤君。ねぇ知ってる?洋邦先輩と高橋先輩アメリカに行ったんだよ!それに一葉さんや双葉さんも。北海道から四人もだよ!凄いよね!」

あら?いたって普通なわけですか?

「あっああ、すげぇよな。そういえば…」

「すきあり!!」

ドゴォーン

山崎のヒップバズーカがもろに命中した。

その攻撃力に俺は倒れた。

「千里ちゃ~ん、美里ちゃんのアド教えてもらえるかい?」

「うん、いいわよ。今日メールで送ってあげるから。」

ドゴッ!

山崎に一発喰らわしてやった。

「いって~な~神藤。折角よ、人が教えに来てやったのに~。」

まったくコイツは…

「で?なにを教えにきたんだ?」

どうせどうでもいいことだろけど。

「もうホームルームが始まるぜ。幸枝先生を怒らせんなよ?」

ホームルームか…待てよ

「千里いこうぜ。山崎悪いが先に行ってくれ。千里と話ながら行きたいんだ。」

「わ~た。遅れるなよ。」

山崎が嫌われないのはこういう所が原因だろうな。

「なあ千里。キャプテン達が行くって知ってたか?」

千里は少し黙った。

「今日の部活で教えるわ。」



・・・やっぱ授業はつまんないな。

特に国語なんて大嫌いだ。授業といえばもちろん世界史と理科だろ。

そして山崎は古典と数学あと確か俺の苦手な国語だ。あいつあんなんだけど俺と一緒ぐらいの成績だ。学年順位は約90位ぐらいであまりよくないけど。

でもこの高校もあいつとお互いの苦手な教科の勉強して合格した。

そして今山崎も俺も共通の苦手な教科…英語!その英語のせいで学年90位なのだ。

「HEY!!SHINDOくぅ~ん?NEXTの英文を訳しなさぁ~い!」

「は?あっはい。この…でんとは…ふっちである?」

…みんなに笑われた(泣)

ちなみに、一時限目の説明は内の野球部の3年にはみんな大学の方から誘いが来ていてアメリカに行く権利があり、学校が選んだ学力面でついていけ、かつアメリカの選手と戦う意思があるのがキャプテン達だったらしい。

キャプテン達は来年の二月に帰って来て卒業証書は受け取るらしい。

キャプテンは西田先輩が、副キャプテンは本村先輩がすることになったそうだ。

しかし、プロが注目する3年が二人もいなくなるのか。

よく来てるスカウトの人が聞いたらどうするのかな?指名するのかな~?

そんなことを考えている内に終わった。

昼休みは屋上でみんなと昼食…そして密かに明日の天気の調査。

「ちくしょー、勉強さえ出来ればこの俺も行っていたのにぃ!」

総将先輩が悔しそうにしていた。

「まぁまぁふっさんが居てくれれば甲子園なんて楽勝なんすよ。ふっさんは俺たちの救世主なんですから、そう怒らないでくださいなぁ~!」

途中山崎が出てきて総将先輩をなぐさめた。

「山崎、ええ奴だなぁ。でもな、洋邦は捕手としてはそこいらのプロと変わらないリードをするし守備も良い。それに打撃も己の腕力だけで打つホームランバッターなんだ。あいつにはタイミングが全くない!」

「つまり、どんな投手にも対応できるということっすよね?」

俺は先輩に尋ねる。

「そうだ。しかもスピードジャンキーだからさらに質が悪い。速ければ速いほど打つ力が上がる。だから、あいつがいなくなるのは確実に得点力ダウンだ。大平はどっちかっていうと打ちつけるからかわりにはならんしな。」

そうなのか~だから大平先輩の打球ってフェンスに当るのが多いんだ~。

「なんで先輩達はみんな凄い人ばっかなんすか?アイドルとかもいるし」

「凄い…か…俺たち実を言うと竜一と高橋以外みんな才能ないんだわさ。これも努力の結晶ってやつかな?んで今年の一年はさとっちゃんやかいっぺのような才能のある奴が入ってきたってわけ。みぃ~んな俺ぐらい努力すれば余裕で抜けるさ。でも俺野球部のなかじゃ一番才能なかったから俺の自主練のメニューは野球部の中で…いや、日本一ハードだと思うけど、この前なんて狩野っち30分でギブアップだったし…。」

た…体力バカの狩野先輩が?

「えっ?ふっさん、1日にどんくらいしてんの?」

山崎が質問していた。

「軽く3時間かな」

驚いた。

「先輩、それを勉強にした方が成績よくなりますよ。」

総将先輩は笑い出した。

変かな?

「そうだと思うけどね~。なかなか勉強ってするきしないんだよね~。だから大体ゲームか自主練習 しちまうんだよ。」

なんというか…凄い。

「そういえば先輩達っていつから知り合いなんですか?中学は違ってたんでしょ?高校からって割にはすごくチームワークあるから聞こうと思ってたんですよ。」

なかなかチームワークってないもんなのにな~

「チームワーク?確かに中学は違ったけど先生達に内緒で強化合宿やったんだよ。この時期。」

合宿?それだけで?

絶対ありえない…

「練習メニューはなんなんっすか?」

ナイスなところで山崎が尋ねる。

「練習はしてないよ…ただ二泊三日の…サバイバルをやった。俺たちは野球部みんなとチームで、相手が大学のサバイバルかなんかのサークルの人達…ありゃぁ、みんなで協力しないと1日ももたないよ。」

総将先輩は苦笑いしながら言った。

「俺たちもやるの?」

山崎が尋ねた。

「どうかな~やるとしたら相手は俺たちになると思うけど…二人いなくなったしな~。したいか?」

う~ん…したいかと聞かれると微妙だな~

「ふっさん、俺はやりたいっすよ。なんか楽しそうっす。」

山崎が答えた。

こりゃ~断ったらいかんな。

「俺もやりたいですね。チームワークはやっぱり必要ですから。」

そうだよな…チームプレイができないと強いところには負けるからな。

「そうか~んじゃ洋邦…じゃなかった竜一に聞いてみるかな。」

やっぱりキャプテンがいなくなったのって先生達にたいしては悪い方にしかいかないよな。

「ところで総将先輩、片尾からもらったあの手紙の答えってどうするんすか?」

俺は気になっていたこと総将先輩に聞いた。

「ぅうん、片尾ちゃんのことはよくわからないから、まずはアドレスを聞いて、そしてどうするか決める…うん、やっぱまずは友達からでしょ!!」

果たして二人の結果はどうなることやら???

クククッ(笑)

キーンコーンカーンコーンキンコンカンコン

「あちゃ~昼休み終わっちゃいましたね。」

山崎が欠伸をしながらいった。

「そういえば…先輩、今日の部活はどうなるんですか?」

「そうだな…練習メニューが作れないから今日はランニングと基礎練習と一応、新部長と副部長の挨拶かな?」

あ~やっぱりな

…千里が言ってた部活の時わかるってなんのことだったんだろ?キャプテンから練習メニューでも受け取ったんかな?

まあ、部活でわかることだ。



「叉斗…お前達とはお別れだな…。」

「あぁ…お前ら二人とは中学に入って同じチームになったけど、また違うチームになるな。」

中学の頃の俺たち二人は三人の男達と話していた。

「お前達二人があのチームに憧れたのと同様に俺たちもあそこのチームに憧れたんだよ。」

締まりのない顔をして言ったのが一笑…この頃の叉斗の球を捕れる唯一の人間だ。

「甲子園で会おう…。」

最後にクールにきめたのが、赤井翼だった。





「コラァー!!悟!寝てるんじゃない!!」

俺は昔の夢から覚めた。



「…お前な、授業中にそんな昔の夢みてんじゃねぇよ。」

部活の準備運動のときに山崎に話した。

「しかし、あいつらなんで長崎の高校なんて憧れたんだろな?」

確かにそうだ。

いままでなんで思わなかったんだろう?

「山崎…」

「ん?なんだ?」

「なんて名前だったっけ?」

山崎は考える仕草をして、

「たしか…島長高等学校だ。」

島長?なんか聞いたことあるような…

あ!

「山崎!根本先輩はどこだ?!」

「あ、ああ。部室にいるみたいだぜ?」

俺は走った。

確か根本、高橋、松尾先輩が転校してくる前にいた所だ!

「神藤…準備運動だぞ…これも部活の練習メニューなんだ…勝手な行動するんじゃねぇよ…」

狩野先輩が咳をしながら俺に言ってきた。

「あっ…すみませんでした…。」

俺は狩野先輩にお辞儀をしてまた準備運動に入った。

あの三人の事が気になって頭から離れなかった。

「神藤…全部メニューが終わってから聞きにいけよ。それなら、止めないから。」

…狩野先輩って赤井に似ているな…クールなイケメン…んでもって…周りへの気配り上手。

「あっ、先輩…夏風邪大丈夫っすか?」

「あぁ…すまないな…。」

準備運動が終わったあと、全員集まり新部長・副部長の挨拶があった。

俺が期待していた島長高校の話はなかった。

「おい、神藤!投げ込みの相手してくれ。」

神岡が俺のグラブを持って話しかけて来た。

「え…ああ、いいぜ。手加減しろよ?」

「ちゃんと捕れるように投げるさ。捕りこぼすなよ?」

「大丈夫だよ。さあ、さっさと始めようぜ。」

軽口を叩きあう。

とりあえず今は島長高校の事は忘れよう。終わったら根本先輩に聞くようにすりゃいいさ。

「さぁ、全球試してみようぜ。」

俺は神岡に言った。



「竜一…お前抑えて投げる練習をしとけよ…これからの甲子園とか考えたら、肘がやばいって…。」

総将は素振りをするのを一旦やめ、竜一に言った。

「わかってるつもりけど、なってしまうんだよ、これが。」

フォームの練習をしながら竜一は言った。

「洋邦がいたらまだ楽なんだがな。なんも考えずにやれたしよ。」

「まあな。ほんと、あいつのおかげで俺たちここまでこれたんだよな。」

二人は黙り込んでしまう。思い出が二人の中でめぐった。

「…今日、言うんだよな…神藤、山崎は何かに気づいていたっぽいだけど…」

「そうだな…まぁ、仕方ないけどちゃんと言いますか…あいつらの事…今週ある二泊三日サバイバル…」

二人はため息をして再び練習に戻った。

しばらくして竜一は総将に言った。

「総将…俺達が勝手にあいつらのこと、話していいんかな?」

「さあな…でも、あいつらのこと知ったら多分…」

竜一は溜め息をついた。

「やっぱり、いわんほうが良くないか?言ってもチームワークが駄目になるだけだろ?」

「そりゃそうだけど…」

総将は言葉を濁した。

「だろ?言わないことにしようぜ。前の高校でのことなんてさ…」

総将は押し切られた。

「そうだな…野球とは何の関係もないし。サバイバルのことだけにしたほうがいいな。」

竜一は安心した。

「神藤たちは適当に誤魔化しとこう。」

総将はうなずいた。

「そうだな。」



練習が終わって竜一先輩からの話があった。

「次の三連休、つまり今週の土曜に二泊三日の合宿をやろうと思う…これは先生達には内緒のことだ。用意する物は三日分の食料と上下冬服の服装、まぁ必要ないとは思うがあと寝袋をもってきてくれ…あと注意事項だが、うちの学校の物だとばれないやつは持ってくるな。親にも言うなよぉ、あとは内容だがそれは当日に言う。」

…俺たちは合宿と聞いた時少しざわついたがみんな何かやばそうだと思うと静かになった。

そしてそれがサバイバルだというのに気づいているのは俺と山崎…

「なあ、山崎?サバイバル本当にあることになっちまったぜ?」

「そうだな~まあ、楽しもうぜ?サバイバルなんて始めてだろ?」

山崎は笑いながら言った。

「そりゃそうだけどよ~勝てると思うか?先輩達に?」

山崎に返す。山崎は複雑な顔をして

「勝てるかと聞かれれば無理だろうけど…引き分け位はできるんじゃないのか?」

引き分け…確かに可能だろうけど先輩達は俺達が勝つことを望んでいる気がする。

「引き分けならできるだろう…けど…」

「な!さあ、さっさとかえろうぜ~!」

山崎は最後まで聞かずにいってしまった。

サバイバルか…一体どんなことやるんだろ…学校、親にも内緒の合宿なんて相当やばいにきまってる…そう思いながら俺はラジオを聞き日記を書いた。

「根本先輩に聞くの忘れてたなぁー、まぁそれは明日聞くとして、千里が言ってた事って何だろ?」

そんな事が気になったわけでその日の夜は全く眠れなかった…明日の授業…眠くなるな…






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