3、宿敵



作・igniter


ドガァァァン「B」にタサップから放たれたミサイルの一つが直撃した。
その体は思わず倒れこんだ。
「クソ、これくらィ」
ペニーは激しい振動とGの中吐き捨てた。口の中が少し苦い。
タサップは3機。内、紅い機体がペニーに一直線に迫る。
それはスマバラを襲撃したものと同一だった。
ガシャン
腰から何かをとり発行させた。
ヒートナタ
高熱の刃で切断できない物は無い。
「B」はまだ倒れこんだままだ。
タサップがそれを目の前で振り上げた時、ペニーは震撼した。自分を待つ者は己の死だと確信したのだ…。


3時間前
ペニーは自分の部屋にいた。スマバラと違い個室で清潔感があった。
ルーテのことを考えていた。ペニーは別れを告げずにきた。
しかし後悔はしていない。最後の別れではないと感じたからだ。
「また会えるよな」
ペニーはそう呟き、意識がそのまま暗闇へと消えていった。


150分後
静かなブリッジが突然慌ただしくなった。
「前方に敵MS、タサップです!」
オペレーターの一人サキコ・ラー・タウの声が響いた。同時に艦内に警報を鳴らした。
「艦長!」
サンが叫ぶ。
「ウム、全砲門開け!会敵用意!」
ペニーは格納庫へ「B」のもとへ走っていた。そこにはメカニック、ナカガワがいた。
「出撃するのかい、いってきな」
ペニーはナカガワと手をならし「B」へ乗り込んだ。
「よーし、やってやるぞォ」
「そこのライフル持っていきな」
ナカガワが指差す先には江川社製Mkー2ビームライフルがあった。
これは地球軍の最新技術でつくられ、コスモ軍にとって畏怖すべきものの一つとなる。 「B」がそれを手にする姿は戦場へ迎う男のようだった。
「ミラーコーティング完了!」
「進路クリア」
「ウム、出撃させよ」
ミラーコーティングされた「B」のその様子は幻想的な光景であった。
「タラ・ペニー、でます!!」
次の瞬間、ペニーは自分の何倍もの体重を感じた。
「……ッ!」
骨が軋み蔵が潰れそうだった。「B」はどんどん加速した。
バシュッ
モリヤマから一筋の矢が放たれた。それは復讐に燃える期待の星だった。
「テンツ隊長ォ!新造艦から何かでました」
震える声。
タサップが指差す仕草はパイロットによるもの。パイロットのシマダは実戦は初めてであった。
故に彼の機体は後方支援用のタサップS(サポート)だ。
「あれは…あの時の奴か。よしシマダとテルはここで援護だ。私はあのMSを叩く!!」
「了解」
「でも隊長一人では危険です」
「フフッ…、私は[真紅の悪魔]だよ」
テンツは緊張と不安の念にかられるシマダを思いこのような命令を下した。
隊長として全隊員の命が大切だ。
もう一つ、地球人などに負けはしないと自信があった。 ズズゥゥゥン…大地が荒々しくペニーを迎え入れた。
「着地は…、よし、と」
「当れェェェ」
ペニーは迫り来る敵にライフルを照準を見ずに一射した。
「何ッ、ビームだと!?」
その光線はタサップを当然掠めもしなかった。
しかしその一発はテルやシマダ、テンツらコスモ軍勢を驚愕させるのに十分だった。
「シマダ、援護するぞ」
テルのタサップはミサイルランチャーを構えた。
「お、俺だって」
シマダのタサップSも200mm低反動砲を「B」に向けた。
ペニーが再び撃つとほぼ同時に二人も撃っていた。
ビームはまた外れテンツが距離をグイグイつめる。
「クソッ、当たれ…」
もう一度撃つ、その時、砲弾の雨が「B」を襲った。
ズドォォォン…一つのミサイルが直撃した。
「ウワァァァ…ッ」
体勢を崩し倒れこむ。 モニターには悪魔の目が赤く映っていた。
「フフッ…二人め、よくやる」
テンツは絶妙な援護のタイミングを素直に感心した。
テンツが接近戦に持ち込もうとしていてこの援護だ。
テンツ専用タサップは腰から熱屶をとり大きく振り上げた。
「獲った!!」
そう叫ぶテンツは勝利を確信した。 「艦長!」
サンが問う。
「ウム、こちらも援護だ」
「無理です。目標とBの距離が近すぎて巻き込んでしまいます」
冷静に告げるサキコ。
イムラは艦長としてやれることを探したが他のクルー同様見守ることしかなかった。
間近に迫る悪魔。それは死を意味する。
憎しみは恐怖に飲み込まれそうになり悲痛な叫びとなった。
「ウワァァァァァァァァッ!!」その時ペニーの中で何かが聞こえた。



戦うペニー。しかし敵の力は圧倒的だった。
死を目前にする時、Bの隠された力が明らかになる
次回「機動戦士Bバンバム」
第四話<覚醒>
その力、解き放てバンバム!!






戻る