初めての思い



作 S


私はかわいい子供たちが大好き。

そして、新任の先生は早くも子供たちに好かれてる。

私は嫌われてるのに・・・

警戒なんて知らないように無防備で、なんでも一生懸命で、ついつい助けたくなって。

助けるうちに仲良くなって。

子供に好かれる方法を知りたくて、強引なこともしたけれど許してくれて。

いつの間にか先生に嫌われたくない、仲良くなりたいって思いが強くなって。

こんな思いは初めてで。



子供が好き。

今までの私を象ったものとは違うこの思い。

この思いはなんだろう?



行き過ぎた友情?

ただの好みの変化?

わかるのは、この気持ちは好きよりも厄介で、難しいものということ。



先日、無断で校舎を空けたことと、校舎内で先生の豊満なボディを楽しんだことがお父様にバレて山のような書類仕事を任されてしまった。

おかげで私と先生以外はみんな既に帰宅してしまっている。

先生は完全にとばっちりを受けた形だが、一言も不満を言わない。

「稜子先生、これは・・・」

「それはですね・・・・」

力を合わせて仕事を終わらせ、時計をみると9時を過ぎていた。

随分と遅くなってしまった。

先生は最近嫌な夢をみるらしく、時間ギリギリの出勤が多い。

このまま別れると、明日は遅刻するのでは?

車通勤でもないし、夜道の不安もある。

なにより、私の不始末が原因なのだから・・・

「先生、今日は家に泊まっていきませんか?」

「え・・・いえ、そんな悪いですよ」

「そんなことないですよ。それよりも、夜道を先生が一人で帰るほうが危ないでしょう?」

ああ、きっと痴漢なんかに遭っても、なにもできないんだろうなあ・・・

そういう光景が簡単に思い浮かんでしまう。

「それはそうですが・・・」

「でしょう?そうと決まれば善は急げですわ!さあ!」

「わ、わかりましたから・・・そんなに引っ張らないでください・・・」

荷物を纏めた先生の腕を引っ張る。



よし、頑張ろう。

子供好きより厄介かもしれないけど、嘘はつけない。

頑張って、いつかきっと・・・





後書
原作では微妙なところなんじゃないかと思っています。
稜子先生が子供好きであることは1話目から描写されていますが、2009年7月号の4コマKINGSまんがぱれっとに掲載されている2話目における稜子先生と先生の描写、8月号の描写と稜子先生が先生に一定の感情を持っていることを匂わせる表現がされており、もしかしたら・・・という期待を捨て切れません。
さちか歌和多を先生と絡めるのもよさそうだけど・・・
そういえば、原作では最後まで先生を名無しで通す気なのかな?



掲載 2009/06/27






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